講座21世紀の労働法
戦後に市民権を得た労働法は,50年の歳月を経て基本構造を大幅に変化させてきた。飢餓からの 脱却が主要命題であった戦後初期,高度成長期の権利闘争時代,そして市場構造の変容に伴う労
働環境と労働諸条件の相対化が進んでいる現在へと推移してきている。
企業と労働者が経済活動の 主軸をになう企業構造が続くかぎり,労働関係を規律する労働法の重要性はますます高まるであろう。
日本労働法学会創立50周年を記念して編まれたこの講座は,労働法学の到達点を示すとともに,21 世紀の展望を切り拓くものである。
各巻は,21世紀にふさわしく,重要テーマごとに構成し,労働関係の変貌と市場構造の検証から,労
働条件の決定・変更システム,契約原理,賃金と労働時間,平等法理,健康・安全と家庭生活,そして 新しい労使関係の模索まで,労働環境を総体的に確保するためのテーマ設定となっている。
時代の流れを見据え,旧来の構造を一新した本書全8巻は,労働法研究にとってのみならず,労使 関係に関わる当事者の実務的指針としても,長く参照され,21世紀労働法のグローバル・スタンダード
の名に価する充実した内容である。
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講座21世紀の労働法 - 内容と執筆者
巻 |
タイトル |
編集委員 |
第1巻 |
21世紀労働法の展望 |
西谷 敏・土田道夫・村中孝史 |
第2巻 |
労働市場の機構とルール |
菅野和夫・鎌田耕一・山川隆一 |
第3巻 |
労働条件の決定と変更 |
渡辺 章・安枝英・荒木尚志 |
第4巻 |
労働契約 |
野田 進・菊池高志・中窪裕也 |
第5巻 |
賃金と労働時間 |
金子征史・清水 敏・盛 誠吾 |
第6巻 |
労働者の人格と平等 |
浅倉むつ子・深谷信夫・島田陽一 |
第7巻 |
健康・安全と家庭生活 |
和田 肇・西村健一郎・石田 眞 |
第8巻 |
利益代表システムと団結権 |
道幸哲也・小嶌典明・小宮文人 |
第1巻 21世紀労働法の展望
労働法の基本課題・労働者・企業・国際化に焦点を当て,労働法 の実績・課題を分析しつつ,大胆に21世紀労働法を展望。
PARTI |
21世紀労働法の基本課題 |
第1章 |
21世紀の労働と法 |
西谷 敏 |
第2章 |
日本型雇用制度の変化と法 |
土田道夫 |
第3章 |
情報化社会と労働法 |
村中孝史 |
第4章 |
生活保障体系における労働法 |
加藤智章 |
第5章 |
少子・高齢社会と労働法の課題 |
清正 寛 |
第6章 |
労働市場の女性化と労働法 |
田端博邦 |
PARTII |
労働者の利益代表システム |
第7章 |
非労働者と労働者概念 |
柳屋孝安 |
第8章 |
非典型労働関係と法 |
砂山克彦 |
第9章 |
「専門職」化と労働法 |
廣石忠司 |
第10章 |
管理職と労働法 |
辻 秀典 |
第11章 |
労働者像の変化と労働組合 |
根本 到 |
PARTIII |
21世紀の企業 |
第12章 |
使用者概念の変化と法 |
小俣勝治 |
第13章 |
企業と従業員参加 |
安西 愈 |
PARTIV |
国際化と労働法 |
第14章 |
グローバリゼーションと国際労働法の課題 |
米津孝司 |
第15章 |
国際労働基準の展望 |
斎藤 周 |
第2巻 労働市場の機構とルール
労働関係を外在的に規定する労働市場。需給システムの解明を ふまえ,雇用政策のあり方と,円滑な労働市場法の諸条件を解明。
PARTI |
労働市場法総論 |
第1章 |
労働市場法の理念と体系 |
諏訪康雄 |
第2章 |
労働市場の契約ルール |
菅野和夫 |
第3章 |
労働市場の法的機構 |
馬渡淳一郎 |
PARTII |
雇用サービス事業 |
第4章 |
公共職業安定機関の役割と課題 |
鎌田耕一 |
第5章 |
民間雇用関連サービス事業の役割と法規制 |
有田謙司 |
第6章 |
労働者派遣事業の多様化と法的課題 |
大橋範雄 |
PARTIII |
雇用政策の動向 |
第7章 |
諸外国における労働市場政策 |
山川隆一 |
第8章 |
わが国労働市場政策の軌跡と展望 |
中野育男 |
PARTIV |
労働市場法各論 |
第9章 |
職業能力開発と労働法 |
両角道代 |
第10章 |
高齢者就労社会の雇用政策 |
阿部和光 |
第11章 |
縁辺労働者の雇用政策 |
永野秀雄 |
第12章 |
障害者の雇用政策 |
関川芳孝 |
第13章 |
国際労働移動と法規制 |
手塚和彰 |
PARTI |
労働・社会保険と労働市場法 |
第14章 |
長期失業に対する失業給付制度の展望と課題 |
小西康之 |
第15章 |
短期・断続的雇用者の労働保険・社会保険 |
倉田 聡 |
第3巻 労働条件の決定と変更
雇用環境の変化に伴い,労働条件の決定と変更過程の法理の確立は焦眉の課題である。外国法の動向もふまえつつ,決定・変 更システムのあり方を検証。
PARTI |
総 論 |
第1章 |
労働条件決定・変更と法システム |
荒木尚志 |
第2章 |
わが国における労働条件と法規制 |
安枝英 |
PARTII |
各 論 |
第3章 |
労働契約と労働条件の決定・変更 |
唐津 博 |
第4章 |
変更解約告知 |
大内伸哉 |
第5章 |
就業規則法の理論的課題 |
浜田冨士郎 |
第6章 |
労働協約の意義・成立・法的性質と労働条件の決定 |
小西國友 |
第7章 |
労働協約の変更と拡張適用 |
名古道功 |
第8章 |
労働者の過半数代表制と労働条件 |
渡辺 章 |
第9章 |
労働条件の決定・変更と紛争処理システム |
中嶋士元也 |
第10章 |
労働条件の決定・変更と労使慣行の法理 |
寺井基博 |
第11章 |
複数関係企業間における労働条件の決定・変更 |
萬井隆令 |
第12章 |
公共部門における労働条件の決定・変更 |
香川孝三 |
PARTIII |
外国法 |
第13章 |
アメリカにおける労働条件の決定・変更 |
谷本義高 |
第14章 |
イギリスにおける労働条件の決定・変更 |
山下幸司 |
第15章 |
ドイツにおける労働条件の決定・変更 |
藤原稔弘 |
第16章 |
フランスにおける労働条件の決定・変更 |
奥田香子 |
第4巻 労働契約
集団的規律から個別的規律へ。労働契約の重要性はますます 高まっている。両当事者の合意内容と合理的な規制手段につい て考察。
PARTI |
労働契約の生成 |
第1章 |
労働契約の意義と構造 |
中窪裕也 |
第2章 |
労働契約における「合意」 |
野田 進 |
第3章 |
労働契約の成立過程と法 |
水町勇一郎 |
第4章 |
労働契約の期間 |
菊池高志 |
PARTII |
労働契約の展開 |
第5章 |
雇用・就業形態の変化と指揮命令権 |
脇田 滋 |
第6章 |
労働者に対する損害賠償請求 |
角田邦重 |
第7章 |
情報の管理 |
岩出 誠 |
第8章 |
競業避止義務 |
川田琢之 |
PARTIII |
労働契約の終了 |
第9章 |
解雇の自由とその制限 |
野川 忍 |
第10章 |
解雇の手続的規制 |
李 |
第11章 |
違法解雇の効果 |
本久洋一 |
第12章 |
辞職と合意解約 |
森戸英幸 |
PARTIV |
企業と労働契約 |
第13章 |
雇用構造の変容と雇用保障義務 |
川口美貴 |
第14章 |
人事異動 |
藤内和公 |
第15章 |
企業結合と労働契約関係 |
中内 哲 |
第16章 |
企業倒産と労働者の権利 |
塚原英治 |
第5巻 貸金と労働時間
労働条件の基本を規定する賃金と労働時間について,賃金設計 の変動の合理性を追求するとともに,ますます弾力化する労働時間規制のあり方を提言。
PARTI |
賃金・労働時間法の課題 |
第1章 |
賃金・労働時間法の法理 |
毛塚勝利 |
PARTII |
賃 金 |
第2章 |
賃金に関する立法規制の目的と手段 |
金子征史 |
第3章 |
最低賃金制・賃金債権の確保 |
坂本宏志 |
第4章 |
賃金債権の発生要件 |
盛 誠吾 |
第5章 |
賃金の決定基準 |
林 和彦 |
第6章 |
成果主義賃金と年俸制 |
古川陽二 |
第7章 |
人事考査・評価制度と賃金処遇 |
石井保雄 |
第8章 |
退職金・企業年金・賞与 |
高木紘一 |
PARTIII |
労働時間 |
第9章 |
労働時間規制の目的と手段 |
浜村 彰 |
第10章 |
労働時間規制の原則と例外 |
中島正雄 |
第11章 |
労基法上の労働時間の概念と判断基準 |
石橋 洋 |
第12章 |
労働時間の算定と事業場外労働 |
後藤勝喜 |
第13章 |
変形労働時間・フレックスタイム制 |
野間 賢 |
第14章 |
裁量労働制 |
吉田美喜夫 |
第15章 |
時間外・休日労働 |
藤本 茂 |
第16章 |
公務員の給与と勤務時間 |
清水 敏 |
第6巻 労働者の人格と平等
平等法理は労働者の人格を尊重して作り上げられる。複雑化す る企業社会において,差別の解消は最重要課題である。公正と 平等の相互関係に着目して展開。
PARTI |
労働者の人格と平等 |
第1章 |
企業における労働者の人格権 |
島田陽一 |
第2章 |
労働法における平等と公正 |
深谷信夫 |
第3章 |
労働法とジェンダー |
浅倉むつ子 |
PARTII |
労働者の人格権保護 |
第4章 |
雇用関係と労働者のプライバシー |
山田省三 |
第5章 |
人事労務管理と労働者の人格的利益の保護 |
竹地 潔 |
第6章 |
私的自由と労働契約 |
今野順夫 |
第7章 |
セクシュアル・ハラスメントの法理 |
山崎文夫 |
第8章 |
労働者の思想信条と言論の自由 |
野村 晃 |
第9章 |
企業の懲戒・制裁 |
鈴木 隆 |
PARTIII |
労働法の公正と平等 |
第10章 |
雇用・就業形態の多様化と均等待遇 |
奥山明良 |
第11章 |
男女賃金差別の法理 |
神尾真知子 |
第12章 |
募集・採用差別 |
笹沼朋子 |
第13章 |
配置・昇進と雇用差別 |
林 弘子 |
PARTIV |
立証と救済措置 |
第14章 |
差別の立証方法 |
今野久子 |
第15章 |
差別是正の実効性確保 |
青野 覚 |
第7巻 健康・安全と家庭生活
古典的な労働災害・安全衛生はもちろん,労働生活を全うする ための諸条件として,家庭生活との両立は21世紀の課題である。補完的制度も含め探求。
PARTI |
労働生活の健康と安全 |
第1章 |
労働安全衛生法の課題 |
小畑史子 |
第2章 |
労災保険政策の課題 |
岩村正彦 |
第3章 |
労災補償と損害賠償の新たな関係 |
良永彌太郎 |
第4章 |
労災認定の問題点 |
保原喜志夫 |
第5章 |
作業関連性疾患・死亡 |
石田 眞 |
第6章 |
使用者の安全・健康配慮義務 |
品田充儀 |
第7章 |
疾病労働者の処遇 |
水島郁子 |
PARTII |
職業生活と家庭生活の調和 |
第8章 |
年休権の構造 |
長淵満男 |
第9章 |
企業における多様な休暇制度 |
西村健一郎 |
第10章 |
深夜業・交替制勤務・変形労働時間制の法的規制 |
武井 寛 |
第11章 |
業務命令権と労働者の家庭生活 |
和田 肇 |
第12章 |
母性保護 |
中村和夫 |
第13章 |
育児・介護をめぐる問題 |
菅野淑子 |
第14章 |
福利厚生施策と受給権保護の課題 |
佐藤敬二 |
第8巻 利益代表システムと団結権
労働者の利益代表システムを,改めてどう構築するか。団結を基 盤とした利益代表システムの基本にのっとりながら,新しい労使関係のシステムを模索。
PARTI |
利益代表システムと団結権 |
第1章 |
21世紀の労働組合と団結権 |
道幸哲也 |
PARTII |
労働者の利益代表システム |
第2章 |
組合のなかの集団と個人 |
三井正信 |
第3章 |
労働条件決定過程と組合内部手続 |
鈴木芳明 |
第4章 |
従業員代表制 |
小嶌典明 |
第5章 |
団体交渉権の法的構造 |
道幸哲也 |
PARTIII |
労働組合の諸権利 |
第6章 |
不当労働行為の認定基準 |
小宮文人 |
第7章 |
査定差別 |
直井春夫・成川美恵子 |
第8章 |
企業内・外の組合活動 |
辻村昌昭 |
第9章 |
争議行為の正当性 |
大和田敢太 |
第10章 |
争議行為の責任 |
遠藤昇三 |
第11章 |
公務員の労働基本権 |
渡辺 賢 |
第12章 |
団交拒否 |
新谷眞人 |
第13章 |
組合併存状態と不当労働行為 |
國武輝久 |
PARTIV |
団結権保障のシステム |
第14章 |
労働委員会の将来 |
籾山錚吾 |
第15章 |
行政救済と司法救済 |
山口浩一郎 |
第16章 |
労働委員会命令の法 |
宮里邦雄 |